師匠の現れ

師匠は準備ができた時に現れる。

新宿駅からの地下道からあがって、道場に行く途中の私が道を渡ろうとしたら、後ろに何か落ちた音がして、男の人の声が「ファック!ファック!」と繰り返して言った。

振り返ってみると、車椅子に同じ道角に車椅子の座っている男性が違う方向への横断信号を待っていると分かった。彼のリュックが落ちて、本、軍手などの中身が歩道に散らかった。

三歩ほど近づいて、カバンを手にとって、渡した。他の物も拾ってあげようと思ったが、「ファック」と言ってカバンをまた地面に投げた。

「あ、そうなんだ。いいんだ。」と私が言って、ほって置いた。その時に私が待っていた信号はもう変わっていたので、男と散らかっているものを背中にして道をを渡った。後ろから繰り返して「ファック」が聞こえた。

あの男はきっと悩みたかった。周りに助けになれる人がいたのに、声もかけないし、助ける人が現れてもその助けを拒否した。私個人もそんなことがあるのだろうかと自分に問いかけた。そこで気づいたことがあって、この師匠に感謝した。

もう一つ、誰も人の幸せに責任を負えない。手を延ばすべきけど、時には人が気が済むまで悩まなければならない。ほって置いていい。

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